医学管理料とは──診療報酬制度における機能と遠隔医療との接点

医学管理料は、日本の診療報酬制度における加算項目の一つで、医師が特定の疾患や状態に対して、継続的かつ計画的な管理・指導を行った場合に算定される報酬である。検査や処置といった直接的な医療行為とは異なり、医師の判断、説明、教育的支援などの「マネジメント」に対する評価と位置づけられている。


構造的位置づけ

診療報酬点数表においては、「医学管理等」の区分に分類されており、主に外来診療での慢性疾患管理、指導管理料、緩和ケア指導などが含まれる。対象は特定の疾病または病態に限定されることが多く、算定には対象疾患・指導内容・記録の整備・管理計画の作成などが要件として求められる。


代表的な項目

名称 対象とする管理内容
特定疾患療養管理料 高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の継続管理
糖尿病透析予防指導管理料 腎機能の悪化を防ぐための多職種連携による患者指導
がん性疼痛緩和指導管理料 疼痛スケールや薬剤調整を伴う、がん患者へのモニタリング
小児科療養指導料 小児の慢性疾患(喘息等)に対する環境・生活指導を含む支援

これらは月1回などの頻度制限のもとで、外来再診料等と併せて算定される。


遠隔医療との関係性

医学管理料は、従来対面を前提としてきたが、近年では遠隔診療・在宅医療の進展により、ICTを介したモニタリングや指導が制度的にも徐々に認容されつつある。特に、慢性疾患のモニタリングや患者教育の電子的支援において、管理料の一部が遠隔対応と接続可能な領域にある。

遠隔医療の評価研究においては、医学管理料が示す「介入の構造と頻度」が、診療行為の定量的指標として利用可能である。また、医療提供側の負担・収益構造分析においても、重要な変数となり得る。


根拠資料

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